長期投資家・白蜜の思考回路

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【政治】"税金を使って病床削減"について解説します

こんばんは、白蜜(しろみつ)です。

 

ここ数日、ネットニュースやSNSで「コロナ禍で大変なのに、菅政権は税金を使って病床を減らそうとしている。けしからん!」という論調があります。

中身をよく読んでみると、あまりにも事実と異なることが書かれているので医療従事者の端くれとして少し解説をいたします。

(厚生労働省や菅政権を擁護するつもりはなく、ただ事実のみを解説していきますのでぜひ最後までお読みください。)

 

 

 

1.ネットニュースの内容

ネットニュースの内容はざっくり言うと以下の通りです。

「病院が病床(ベッド数)を減らしたら国からお金がもらえる。その財源は消費税である。コロナ禍で医療逼迫が叫ばれている時に病床を減らすなんてけしからん!撤回せよ!!」

 

なぜ政府や与党はこのような法案を国会に提出したのか、について説明していきます。

 

2.病床機能報告と地域医療構想

まずは次の表をご覧ください。

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この表は東京都の地域医療構想のHPから数字を引用して作成したものです。

参考: 東京都地域医療構想(平成28年7月) 東京都福祉保健局

 

この表から読み取れるのは…

東京では高度急性期、急性期、慢性期病床が多すぎる。

一方、回復期病床が全然足りていない。

全体としては1万床足りない。

というものです。

 

用語について簡単に説明します。

〇病床機能報告とは…

東京都にある病院のベッドを4つに分類し、それぞれの病床数を各病院が東京都に報告したものです。その分類とは、高度急性期・急性期・回復期・慢性期です。

つまり2015年7月1日時点で東京都に実際にあったベッドの数です。

 

4つの分類について、それぞれの明確な定義を分かりやすく説明するのはなかなか難しいですが、最も緊急を要する・命に関わる場合が高度急性期、その後に少し容体が安定したら急性期に写り、回復期では医師による治療はほとんど必要がなくなり文字通り回復するのを待ちます。

慢性期は、こちらも文字通り慢性的な病の治療や生活の支援などを行う病床。

厳密さよりわかりやすさ重視の説明をすると以上のようになります。

 

〇地域医療構想とは…

各都道府県で今後必要になる病床数を推計(予想)し、今後の政策に活かしていくものです。

ざっくりとした説明になりますが

将来の人口を予想→将来の患者数を予想→将来必要になるベッド数を予想

という流れです。

 

実際には人口、受療率(どのくらい病院に来るか)、近隣の自治体からの流出入なども加味しますが、細かすぎる話になるのでスルーで構いませんw

 

3.「病床削減法案」の真の姿

今回、話題になっている「病床削減法案」とは、正確に言えば「病床再編推進法案」ということになります。

 

つまり、先ほどの東京都の例で言えば、公立病院や民間病院に対して高度急性期・急性期・慢性期病床を減らして回復期病床を増やしてもらうために、必要な費用や発生する損失を財政で支援するということ。

 

また、その一方で今回のようなパンデミックが発生した際に柔軟に病床を変更して患者を受け入れることができるようにする体制づくりを各都道府県と個別の病院、または個別の病院同士で協議することとなっています。

 

そして平時から必要な人材育成・物品の備蓄を行い、未知の感染症が発生した時を想定して病床を柔軟に変更できる体制づくりを行うことも推進していくとのことです。

 

参考: 厚生労働省HP

新型コロナウイルス感染症対応を踏まえた今後の医療提供体制の構築に向けた考え方①

https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/000711477.pdf

 

4.まとめ

今回の法案は、地域医療構想の実現に向けた病床再編を財政面から後押しするという(コロナ前から行われていた)政策を実現するための法案です。

この法案が施行されたからと言ってコロナの患者を受け入れるキャパシティが減るということは全くありません。

 

そもそも日本医師会や野党は「ベッドが空いていても、重症患者に対応できる医療従事者が少ないからコロナ病床を増やせない」ということを言い続けてきたはずです。

それならば、今回の法案により病床が減ったとしても全く影響はないはずですが、野党やマスコミが一斉に批判している。

普通に考えたら変な話ですよね? 笑

 

病床機能報告や地域医療構想などは初めての方には分かりづらい話かもしれませんが、できるだけ分かりやすく説明するように心がけて書いてみました。

ネットニュースやSNSに惑わされず、このニュースを冷静に受け止めてその良し悪しを判断してもらいたいと思います。

 

最後までお読みいただきありがとうございます。